銭掛けの松伝説

ある年の秋の雨降る夕暮れのこと、徳玄寺の和尚は、読書の合間に縁側に出て時雨の風情を愛でていると、笠も被らない一人の老僧が山門を入ってきました。和尚の側に来ると菰に包んだものを取り出して「胴体の無い首ばかりの如来様でございますが、どうぞ買っておいてください」といいます。
「いったいいくらで売るつもりかね」と問うと「三貫文」と答え、あまり安くないものの、名工の作と見えて鑿(のみ)のあとも床しく、この雨降りにわざわざ来たのも何かの縁と思い、三貫文を渡して買い取りました。
翌日は雨があがり、和尚は朝の勤行を済ませて外に出ると前庭の松の木に銭が吊してありました。不思議に思ってよく見ると、それは昨日老僧に渡したはずの三貫文でした。忘れていったに違いないと待っておりましたが、何日経ってもその老僧が再び姿を見せることはありませんでした。
そして、しばらくその首に継ぐべき胴体を見つけようとあちらこちらの古道具屋を探しましたが見つけることもできませんでした。
何年か経って、和尚は如来様の首を持って江戸へ出かけると、図らずもある古道具屋で胴体ばかりの仏像を見つけ、持っていた首を合わせてみるとぴたりと合いました。
和尚は非常に喜んで値段を聞くと二十両もの大金。胴体のみでは高すぎる、値引きしろといっても一文もまからぬといわれ、やむをえず首だけ持って立ち去ろうとしますが、どうしても首と胴が離れません。仏縁だと納得し、和尚は二十両を払ってこ の仏像を持ち帰り寺のご本尊としました。

“徳玄寺”へのアクセス

名称池水山徳玄寺
住所〒020-0016 岩手県盛岡市名須川町15-8
アクセス電車:上盛岡駅 → 【徒歩5分】 徳玄寺
バス: 盛岡駅 → 【バス12分】 北山 → 【徒歩2分】 徳玄寺
自動車: 盛岡南IC → 【車25分】 徳玄寺
駐車場あり